おれたちから全国の皆様へ

早いもので、私たちが特別栽培米を作り始めて31年という歳月が流れました。昭和天皇が御逝去され、経済バブルが終わろうとしていた時期でした。以来、多くの方々に愛され、30年以上親子２代にわたって買い続けて頂いている熱心なお客様もいらっしゃいます。

粘土質土壌や盆地特有の気候から「三間のお米は美味しい。」ということで、お買い求め頂いておりますけれども、「美味しさ」だけではなく、私たちの栽培指針「安全・安心なお米」を念頭に、熱心に取り組んでいることが、非常に長く全国の皆様からご愛顧頂いている源泉だと思っております。

特別栽培米組合の栽培理念・取組姿勢を説明し、ご理解賜るためには、組合の生い立ちと歩みを知って頂くのが最良かと思いますので、初めにそのことをご紹介させていただきます。

特別栽培米生産組合の生い立ち

特別栽培米生産に取り組むようになったそもそものきっかけは、平成元年、町役場の職員であった組合創設者の一人が、町の診療所へ事務員として勤務していた折に、稲の農薬散布で体調を崩し　診察に来院したり、入退院を繰り返す農家を見て、農薬漬けの農業に疑問をもたれたことに依るものでした。
農薬を減らし　昔のような安全で美味しい米を作りたい、との考えが原点です。

ちょうどその頃、食管法の改正があり、｢特別な作り方の米は、生産者が直接消費者に売っても良い」という内容が盛り込まれました。大変画期的なことでした。今では当たり前のことですが、それまでは政府が全て米を買い取っていたのです。これを機会に、三間米を安心して、子供たちやご老人にも　食べてもらいたいと考え、　同じ集落で当時、牛を飼っている関係から　その牛糞を利用して無化学肥料栽培を行っていた人と２人で　三間町特別栽培米生産組合を結成し、旧食管法の認可を受けた上で、　たった２人のお客様に販売を行ったのが始まりでした。

組合の歩み

特別栽培米生産組合を立ち上げた当時、全国的にも、特別栽培米制度により　消費者と直接取引している農家は　ほとんど無く　非常に先進的な取組みでした。
初めのたった二人のお客様の｢美味しい」との評判が　口コミで広がり、販路が徐々に拡がり、特に平成５年、東北の冷害で米価が予約価格より高騰しましたが、　そのまま価格据え置きで送り続けました結果、翌年は申し込みが倍増致しました。

平成12年（2000年）には、いち早くホームページを立ち上げ、販売に関しても、先進的な取り組みを始めました。これにより全国に私たち特栽米の熱狂的なファンが、飛躍的に拡がっていきました。

その一方で組合への参加希望者も増えて一時は30人以上になりましたが、急速な拡大で組合員の中に、安心、安全への理解や減農薬、無化学肥料に対する理念、共通認識の形成が不十分で、また、低温倉庫の取り扱いにも不適切な面があり　クレームが出始め、お客様の信頼を損ねる事態が発生した時期がありました。（平成14年頃）　そこで、断腸の思いでしたが、十分な管理ができない仲間には脱退してもらい、真面目な篤農家を積極的に勧誘し、　精鋭主義に徹底して現在に至っております。

以上の通り、30年以上の歴史を刻んできた私たちの組合ですが、日々新たなりと申しましょうか、米作りに終点はなく、それどころか、毎年農業指導員を招いて合同勉強会を実施し、厳しく変化する気候に対処するため、斬新な工夫も取り入れながら、「安心安全な美味しい米作り」を常に追求しています。

お客様の「おいしい！」の一言が組合員全員の背中を押してくれています。「農業は面白い。農業は楽しい。」みんな心の底からそう思って日々精進しております。今後とも、よろしくお願いいたします。

令和２年９月